Tuesday, May 7, 2013

Copyrighting the President


池田信夫氏との会話(2004年)

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池田氏
> 半導体など多くのIT産業では、自社の特許だけで製品を作ることは不可能なので、
> パテントプールやクロスライセンスによって「談合」が促進されます。金融技術
> でも、「ビジネス方法特許」が認められるようになってから、寡占化が進んだそ
> うです。やみくもな「知財強化」は、「ベンチャー企業の振興」という経産省の
> 政策目標を台なしにするのではないでしょうか。

それ以前に、経産省のストラテジが全く見えません。

ドメスティックな弁理士を多くして、「国際競争」に勝とうと言うのでしょうか。
弁理士試験に英語を必須にする、など、策は沢山あると思います。

「知財強化」のポイントは、勿論「ベンチャー企業の振興」もあると思いますが
それはあくまで「表面的な」話であって、実際は「国際競争力をつけねば」と
言う事なのでは。しからば、英語が喋れない弁護士や弁理士を増やしたところで
何の意味もないはずです。
「国内」産業間同士で「足の引っ張り合い」をするような策は、国際競争力
の観点からすれば寧ろ有害なのではないでしょうか。「知財強化」はあくまで
「国際的な」観点で語るべきであって、ドメスティックには寧ろ甘くしなけ
ればならないのかも知れません・・・・。
#並行輸入問題なんて、相当古い話なはずですよ、そういえば

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あと、知財のセキュリタイゼーションをもっと促す策をとってみては?と
思います。税制その他での優遇になるのであれば、クロスライセンスやそれ
に準ずる「活用法」は色々と生まれるのでは。また、ライセンシーが
(出資さえすれば)「準オーナー」な立場になることも可能なはずなので、
パワーポリティクスにダイナミックな変化が生じるようになるかもしれません。

「ビジネス方法特許」(Business METHOD Patent)が出たとき「ああ、こりゃ
まずいな」と思ったものですが、セキュリタイゼーション(証券化・流動化)
等を通じた「産業活性化」「金融政策」をプラスするなら、決して
「産業育成を妨げる」ものにはならないんだろうなあ、と思うようになりましたね。

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今後20年、「アンチパテントな時代」になるかも、とは思っていましたが、
意外に「パテント<有効活用>な時代」になるかもしれません。アメリカの
「極端(+1)・極端(-1)な政策」の周期(繰り返し)にはそろそろウンザリ
です。(^^;

----(対する答え)----

Tetsuya Kitahata
> 「ビジネス方法特許」(Business METHOD Patent)が出たとき「ああ、こりゃ
> まずいな」と思ったものですが、セキュリタイゼーション(証券化・流動化)
> 等を通じた「産業活性化」「金融政策」をプラスするなら、決して
> 「産業育成を妨げる」ものにはならないんだろうなあ、と思うようになりましたね。

そうですね。半導体でも回路技術の分野では、技術の特許(IP)をライセンスす
るだけで製造設備をもたない開発専業の「ファブレス」企業が登場しています
(携帯電話のクォルコムが有名です)。つまり情報を「財産」として市場で取引
することによって、技術はあるが設備をもたないベンチャー企業が参入しやすく
なるという効果もあるわけです。これについては、実証研究も出ています。

http://icc.oupjournals.org/cgi/content/abstract/13/3/451

どっちの効果が強いかは、先験的にはわかりませんが、回路設計とか遺伝子工学
のように特許が物理的な特性で定義しやすく、他の技術との補完性が弱くて「強
いインセンティヴ」が望ましい分野では、特許が独立(競争)を促進する効果が
強く、それ以外では競争を阻害する効果が強いようです。

だから「知的財産権」を強化するかしないかという問題は本質的ではなく、情報
の利用における交渉費用(transaction cost)をいかにして最小化するかというこ
とが政策目標であるべきだと思います。財産権という制度がすぐれているのは、
物的資産の帰属をverifiableにして再交渉の余地をなくすためですが、定義が曖
昧で権利者の重複する「知的財産権」は、かえって交渉費用を増やす場合が多い。

ただコースの定理によれば、どんな権利が設定されていようと、交渉費用がゼロ
であればパレート効率的な状態が実現できるので、問題は情報生産者と利用者の
所得分配の違いだけです。むこう100年ぐらいを考えると、情報技術によって交
渉費用がゼロに近づけば、制度の違いなんてグローバルにarbitrageされ、国家
が情報の独占を保証する意味はなくなるでしょう。

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